教育インサイド学校統廃合、揺れる地域「朝日マイタウン岩手」

県内の小中学校が、統廃合で次々と姿を消している。今春も、岩泉町など8市町村で計13校が廃校になり、この20年では、県内小中学校合わせて153校、全体の約2割が削減された。少子化や過疎化で児童生徒が激減し、中山間地の小規模校などが維持できなくなっているためだ。「普通の環境で育てたい」と大集団での育成を望む親に、地域のシンボルを残したい住民。今後も少子化の波は避けがたく、統廃合の権限がある各市町村は厳しい選択を迫られる。

閉校式で別れの言葉を群読する旧大平小中の児童生徒たち=3月22日、岩泉町安家
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「こんなに思い出いっぱいなのに」。3月22日。北上高地の山あいにある岩泉町立旧大平小中学校の体育館に、全児童・生徒6人が声を合わせた「別れの言葉」が響いた。澄んだ児童の朗読に、保護者や同窓生らのすすり泣きが重なった。
1898(明治31)年、安家尋常小大平分教場としてスタートした大平小中学校は、この日、110年の歴史に幕を閉じた。
子どもたちは4月からバスを使い、同校から約10キロ離れた安家小中学校に通う。安家川のせせらぎが聞こえ、夏には山に落ちていく流れ星を眺められた校舎には、もう通えない。大下堅司君(10)(現・安家小5年)は「安家川で水中の生き物を見つけるのが楽しかった」と話す。
統廃合の是非を巡って、大平地区は1995年ごろから、揺れてきた。当時、在校生はピーク時の1966年度の164人から二十数人にまで減っていたが、学校は地域のシンボル。住民から「残して欲しい」などの異論が相次いだからだ。
だが、親の考えは違った。大平小中でPTA会長を務めた合砂哲夫さん(51)は「子どもも先生も仲良く、素直でまっすぐな子どもが育つ環境だった」と認めつつ、「それだけでは今の世の中やっていけない。学校というのは多くの子どもが集まって勉強し、学力を高めるところのはずだ」という。
新入児童も見込めず、議論の末、最終的に「統廃合やむなし」の結論が導かれた。町教委は、「単に在籍者が少ないという理由では(統合を)決めてないが、子供がいない以上、学校を維持するのは難しい」と話す。1957年、町内に63校あった小中学校が、いまはわずか20校。「学校は切磋琢磨(せっさたくま)して社会性を身につける場でもある。地域と話し合い、合意の中で導かれた結論」という。伊達勝身町長は「学校の統廃合は限界集落をめぐる闘いでもある。」と危機感を募らせる。
中山間地で統廃合が進むのは同町だけではない。田野畑村も今年3月議会で町内6小学校の統合を可決、2年後には田野畑小1校になる。同町の石岡三郎教育長は「少子化が進む以上、統合は仕方ない」と話す。
一方で、「教育効果」と地域住民の要望のバランスをとろうと、工夫する自治体もある。
宮古市では、児童が減った山間部の四つの小規模校が連携し、毎週1回、合同授業を行う試みを進めている。児童の集団性、社会性を育みつつ、学校自体は存続させる狙いだ。
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複雑な地域感情もからむだけに、児童生徒数の減少ほどには学校減は進まない面もある。
県内の07年度の児童生徒数は11万7230人で、ピーク時の60年代初めの3分の1だが、学校数はほぼ半減にとどまる。県教委によると、この20年で、一校あたりの在籍者数は、小学校で平均229人から177人に、中学校で同295人から208人に減った。その分、教員配置などのコストが高くなった計算だ。
人件費を負担する側の県教委は「地域は学校を残したいだろうが、行政としては(学校の規模を)大きくしたい。難しい問題だ」と本音を漏らす。
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再び岩泉町。統合した安家小中でも、旧大平小中の子どもたちをあわせた全校児童生徒数は24人。存続の危機は今後も続く。少子化の流れは顕著で、5年後の2013年度には、町内の児童生徒がさらに105人減少する見込みで、さらなる統廃合は避けられない情勢だ。
「仮に安家小中をさらに統合するとなれば、大平地区から30キロ離れた岩泉中に通うことになるが、そんなに離れた距離を通わせていいのか」。町教委の担当者は、頭を抱えこんでいる。 FC2 Blog Ranking クリックをお願いします
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